子どもと教育を守る

【シリーズ企画】これでいいのか「都立高校改革」 詳細

2002.10.25

4.希望するすべての子どもにゆたかな高校教育を

「自己PRカード」
子どもの誠意・誠実さまでも入試の売り込み材料に

 都立高校入学者選抜制度は、これまで、「グループ合同選抜制の廃止」や「普通科の推薦制度」から始まって、昨年の「諸活動の記録」まで、毎年のように 「改善」という名で変えられてきました。都立普通科の推薦制を例にとれば、受験機会が増えるという触れ込みで、3万人受験して2万人は落とされるという状 況でした。子どもたちは、合否基準も不明確なままに高校の「良い子」取り競争のうずの中に投げ込まれるというものでした。
 今年6月、さらに都教委は、学校週5日制・新学習指導要領の実施に伴い、入学者選抜の「改善」として、次のことを打ちだしました。
(1) 調査書の各教科の評定を、これまでの「集団に準拠した評価(相対評価)」から「学習指導要領の目標に準拠した評価(絶対評価)」に改める。
(2) すべての受験者に今年度から「自己PRカード」を提出させ、選抜の資料にする。上限は定めず、満点の下限を百点とする。
(3) そのカードを書く際の参考とするために、全ての都立高校が「本校の期待する生徒の姿」をしめす。

学校名本校の期待する生徒の姿の例
A校
  1. 本校の特色をよく理解し、志望理由が明確である生徒
  2. 学習意欲が旺盛で、自ら課題意識をもって学校生活を送ることが期待できる生徒
  3. 中学校で部活動に積極的に取り組み、入学後も意欲ある活動が継続できる生徒
  4. 中学校で生徒会活動や委員会活動に積極的に取り組み、入学後も継続して活動する意欲のある生徒
  5. ボランティア活動等、課外活動を継続して行っている生徒や資格・技能を有する生徒

自己PRカード「人事考課制度の子ども版」

 評価問題は次回まわしとして、ここでは、「自己PRカード」の問題を考えたいと思います。
 いよいよ都教委は、入学者選抜試験で子どもの誠意や誠実さを点数ではかるという教育破壊としかいいようのない方法を持ち込んできました。
 すべての都立高校がしめした「本校の期待する生徒の姿」に照らして、子どもたちがその高校を希望する理由と中学3年間の活動をPRさせられ、そ れを「点数化していく」というものです。言い換えれば中学3年間ひたむきにすごしてきた生活そのものを、高校への売り込み材料とさせられ、競争にかりたて られるというものです。
 都教組高校問題対策委員会が実施したアンケートにも、多くの危惧する声が寄せられました。

  • どのように点数化するのか。合否の不透明さが増すだけ。
  • 入試に素質は関係ない。自己PR能力は入試に全く関係ない。
  • 自己PRと自己主張は違う。
  • 生徒の中学校生活をゆがめる恐れがある。純粋に中学生活の活動ができにくくなる。
  • 希望する高校の目標に生徒が合わせる形になる。

 「子どもや保護者が高校に期待して、高校がそれに応えるというのではなく、高等学校が子どもに注文をつけて、気にいったものだけ採る」というこ のしくみは、まさに、学校が教育の場であるという精神をかなぐり捨てた典型と言えます。ちょうど、校長の経営方針にそって自己申告目標を立てさせられる教 員の人事考課制度の子ども版にあたる内容だと思われます。
 子どもたちは、どのような気持ちでこのカードを書くのでしょうか。しかしそれもまた点数なのです。基準も何もわからないまま、子どもにとっては闇のなかで処理されるまったく得体のしれない点数なのです。このような方法は即刻やめてほしいと思います。
 高校の設定した目標に身をすり合わせるようなことをしなければ、高校に入学させてはもらえない高校教育とは何なんでしょうか。学校は子どもの成長・発達を育むところであって、制限枠をつくって、規定外の品物をはねだすところではないはずです。
 高校教育を、希望する子どもみんなが受けられるしくみにしてほしいと思います。

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