子どもと教育を守る

【シリーズ企画】東京都の「一斉学力テスト」を斬る 詳細

2007.06.05

1.東京都の「一斉学力テスト」を斬る

 東京都の『児童・生徒の学力向上を図るための調査』(以下『一斉学力テスト』)と「成績(平均点)」公表によって、子どもどおしの人間関係が歪められ、「おまえがいると成績が下がるから休め」と友達から言われるなど、心を深く傷つけている子が少なからずいます。また、少しでも順位を上げるのだと「過去問」をくり返す学校、教育委員会が成績の悪い子の答案用紙は提出する必要はないと発言するなど、教育が大きく歪められ、深刻な事態が広がっています。
 シリーズ「東京都の『一斉学力テスト』を斬る」は、2007年1月に実施された東京都『一斉学力テスト』の出題問題を東京民研共同研究者と研究員の協力を得て分析・検討したものです。第1回目は「算数・数学」です。職場や地域で活用し、『一斉学力テスト』廃止をめざすとりくみにぜひ生かしてください。

算数・数学の問題を斬る 増島高敬
 東京都「一斉学力テスト」の問題のうち、算数・数学について検討してみます。問題を見ると、次のような特定の抽象的な「観点」が先に用意されていて、各問が「それを見るための」ものとして位置づけられています(かっこ内は中2の場合)。
 数量や図形についての知識・理解/数量や図形についての表現・処理(数学的な表現・処理)/数学的な考え方(数学的な見方や考え方)/算数への関心・意欲・態度(数学への関心・意欲・態度)
 たとえば、8+2×4の計算が「表現・処理」を見る問題として出題されていますが、この計算は「乗除先行」という計算のルールについての知識・理解なしにはできません。正答したからといってただちにこのルールを深く理解していることにもならないでしょう。単純な計算・求答問題であっても、そこで求められるのは単なる表現・処理ではなく特定の具体的な事実や概念・法則についての知識・理解に関連づけられたそれです。抽象的にしかももっぱら一つの観点からだけ評価することは無意味です。まして、いくらかでも複雑な構造をもった問題であれば一層そうです。数学の一つの課題(問題)を解決することの中には、人間の活動・思考のさまざまな側面が複合して働いているからです。
 小5・10(2)‐左図‐は「関心・意欲・態度」を見る問題です。正答(アイウ)のいずれかを選んだことが、どのような関心・意欲・態度をどのように裏付けることになるのか不明です。また「多角形の角の和を求めよう」という「関心・意欲・態度」をもった子どもが知識・理解が不十分なために誤答(エ)を選んだとして、「意欲がなく態度が悪く関心がない」といえるのでしょうか?関心・意欲・態度は知識・理解と関係するが、一応別のことです。知識・理解に欠けるからといって関心・意欲・態度が劣るとは限りません。また、小3、5と10の(1)、中9などは「見方・考え方」の問題ですが、子どもたちに自由に考えさせずに、出題者の意図に沿って回答を誘導してしまっています。これでは、「出題者の考え方に合わせよ」ということです。見方・考え方をいうなら、もっと自由に考えさせるべきです。 gakuryoku.jpg

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