【シリーズ企画】東京都の「一斉学力テスト」を斬る 詳細
2007.06.25
2.東京都の「一斉学力テスト」を斬る
教科書どおりに教えたか教師を点検する(理科)
小学五年生の理科のテストに「(オリオン座の)二枚の観察記録から分かることは何ですか」と聞いている問題があります。「科学的な思考」を調べる問題とあります。でも、これは、教科書に載っている「星の位置は時間がたつと変わるが、ならび方は変わらない」ことを覚えているかどうかを聞いているだけであって、とても「思考」を調べるテストとは言えません。あえて言えば「知識・理解」の問題です。他にも「科学的な思考」「技能・表現」を銘打っていても、ほとんどは「知識・理解」の内容です。問題を作った人たちが、本当の理科の学力とは何かについて真摯な検討をしたものではないことを物語っています。
どの設問もそうですが、理科を学ぶ上で何が大切な内容かというよりは、子どもが教科書どおりのことを覚えたか、教師が教科書どおりに教えたかを点検するものばかりです。
モンシロチョウの体のつくりを聞いている問題も、教科書にある「こん虫のからだは頭・むね・はら」「6本のあし」を暗記したかだけを調べるテストです。昆虫の体は感覚器官が集まっている頭、運動器官(足だけでなく翅も)が集まっている胸、消化器官や生殖器官がある腹に分かれていることを知ることの方がよほど大切なことなのに、貧しい教科書の記述をそのまま覚えたかを調べようというのですから、とても「学力の向上を図る」テストとはいえません。
子どもの考えを鋳型にはめる
さらに、このテストのおかしさの最たるものが「関心・意欲・態度」の問題です。
中学二年生に、「身の回りの水溶液について調べたい」「あなたならどのようなことをしたいと思いますか」と聞くテストがあります。選択肢は次の四つ。「1 いろいろな液体洗剤について酸性やアルカリ性の強さを調べたい」「2 家にある飲料水の種類と量と価格について調べたい」「3 しょう油の中にはどれくらい塩分が含まれているかを調べたい」「4 家のまわりに降った雨をためて、その中にとけている物質を調べたい」。「正解」は1、3、4だそうです。もともと「どのようなことを知りたい」という心のありように「正解」を選ばせようということ自体が非教育的なことです。それに、身近な炭酸飲料などを調べたいと思って2を選んだ子が、「関心・意欲」がないという烙印を押されるのも妙な話です。子どもの自由な発想を無視して、型にはまった「模範回答」だけを要求するテストです。
