子どもと教育を守る

【シリーズ企画】東京都の「一斉学力テスト」を斬る 詳細

2007.09.05

5.東京都の「一斉学力テスト」を斬る

これが本当の社会科の学力ですか? 糀谷陽子

 小学校・中学校の両方に共通して、三つの問題を指摘したいと思います。
 第一は、「関心・意欲・態度」を測るという設問に、大きな問題があるということです。
 たとえば、伝統芸能に対する感想をきいている設問(小・資料(1))は、「すすんで参加したい」「調べてみたい」などの「意欲・関心」を子どもに押しつけるものではないでしょうか。
 また、○○について調べるとき、自分だったらどの方法で調べるかをきく設問(4つの選択肢のうち3つが正解)が、小学校にも中学校にもありますが、それに「正解」できると「社会的事象への関心・意欲・態度」が高いことになるのでしょうか。疑問です。
 さらに、中学校の歴史には、関心をもつ事例を選ばせ、その理由として適切なものを選ばせる設問がありますが、結局は、浮世絵が「外国人の画家に影響をあ たえた」ことや「曽根崎心中」が「男女の悲劇が描かれて」いる事を知っているかを問うものになっており、「関心・意欲・態度」を測る問題としては不適切だ と思います。
 第二の問題は、全体として、ただ単に地図や資料を読み取って答える設問が多く、それらが「社会的な思考・判断」を見る設問として位置づけられていることです。
 たとえば、小学校で自動車の開発目的をきいている設問(資料(2))や、道具とくらしの変化をきく設問、中学校で大名行列や日本橋界隈の絵を見せて「江 戸時代」と答えさせる設問などが、「社会的な思考・判断」に位置づけられていますが、子どもたちにどのような「思考・判断」を求めているのか、とても疑問 に思います。
 第三は、要求されている「知識・理解」の内容が極めて浅薄だということです。
 たとえば、小学校では東京近辺の県名、中学校では山脈の名前や日本の端にある島がどの都道府県に属しているかをきく設問など、「知識・理解」と称して、地名だけを問う設問が多いことです。
 また、中学校歴史で「歴史の大きな流れや時代の特色並びに全体像をとらえさせる」という設問がありますが、それは平安時代の特色を「貴族中心の世の 中」・「武士の政権が成立」・「天皇中心」・「幕府が大名を支配」の中から選ばせるといったもので、中学校の歴史の問題としていかがなものでしょうか。
 この「学力テスト」が、都教委の求める社会科の学力だとしたら、重大な問題だと思います。

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