【シリーズ企画】憲法 詳細
2005.11.15
1.読み比べてみましょう 削りとられた「戦争の反省と平和の決意」
自民党が十月二十八日に「新憲法草案」を発表しました。自民党が条文化した改憲草案を発表するのは、結党以来初めてのことですが、この「新憲法草案」と現行の日本国憲法を比べてみると、その改悪の中身が浮かび上がってきます。自民党「新憲法草案」のどこがあぶないのか、シリーズで考えてみます。 今回は、前文についてです。
| 新憲法草案 日本国民は、自らの意思と決意に基づき、主権者として、ここに新しい憲法を制定する。 象徴天皇制は、これを維持する。また、国民主権と民主主義、自由主義と基本的人権の尊重及び平和主義と国際協調主義の基本原則は、不変の価値として継承する。 日本国民は、帰属する国や社会を愛情と責任感と気概をもって自ら支え守る責務を共有し、自由かつ公正で活力ある社会の発展と国民福祉の充実を図り、教育の振興と文化の創造及び地方自治の発展を重視する。 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に願い、他国とともにその実現のため、協力し合う。国際社会において、価値観の多様性を認めつつ、圧政や人権侵害を根絶させるため、不断の努力を行う。 日本国民は、自然と共生を信条に、自国のみならずかけがえのない地球の環境を守るため、力を尽くす。 |
| 日本国憲法
7.30 9条の会有明講演会 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存すること宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有するとことを確認する。 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う。 |
11.9四ツ谷駅前での9の日宣伝(本部)
「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにする」と宣言しているのが日本国憲法です。戦前、日本が行った戦争はすべて「政府の行為」によるものでした。その点からも憲法前文の持つ意味には大きいものがあります。これが平和憲法といわれる日本国憲法の原点です。しかし、自民党の「新憲法草案」は、戦争への反省が削り取られています。 前文は、「国のあり方」を示す重要な文章だと自民党も言っています。そうだとしたら、侵略戦争の反省を消し去った日本は、諸外国からの信頼を得ることができるのでしょうか。「新憲法草案」九条にあるような、軍隊を持ち戦争のできる国として懸念されることは明らかです。 また、前文に象徴天皇制を記述し、「日本国民は、帰属する国や社会を愛情と責任感と気概を持って自ら支え守る」と愛国心と国防の義務を示唆する表現が入っています。
