憲法と平和を守る

【シリーズ企画】憲法 詳細

2006.01.15

3.読み比べてみましょう 国家が国民を縛る憲法へ

 自民党「新憲法草案」は、日本国憲法が「侵すことのできない永久の権利」(第九十七条)とした基本的人権についても、それを根本から覆(くつがえ)す内容となっています。

■ 国家の利益や秩序に国民の権利を従属させた「新憲法草案」
 自民党「新憲法草案」は、第十二条に「国民の責務」とタイトルをつけ、あくまでも権利の行使に国民の自覚を促した日本国憲法にかわって、国家の利益や秩序に反しない範囲で権利を行使することが国民の義務であり責務であると述べています。また十三条では、生命を守ることや自由や幸福を追求することも国益や国家の秩序に反しない限り認めるという内容になっています。

■ 「新憲法草案」の公益・公の秩序とは何か
 すでにシリーズ(1)でも述べたように、「新憲法草案」の前文には「日本国民は、帰属する国や社会を愛情と責任感と気概を持って支え守る責務を共有」すると書かれています。「帰属」とは「つき、従うこと」(広辞苑)です。日本国民は国家につき従い、愛情・責任・気概を持って国家を支える責務があるというわけです。一月八日の都教組憲法問題学習会で坂本修さん(自由法曹団団長)が指摘していたように、これは「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ・・・・」と述べた教育勅語の考え方そのものです。公益・公の秩序と自衛軍を持つ「戦争する国」とは一体のものであることは明らかです。

■ 国家が国民を縛る憲法へ変えることがねらい
 憲法は主権者である国民が国家を監視するための最高法規です。「新憲法草案」はこれを国家が国民を縛り上げるものへと百八十度憲法の役割を変えようというわけです。これは、権力を持っていない一人ひとりの個人が主権者となって政治を運営していく、そのために権力が好き勝手なことをしないよう、憲法を最高法規とするという人類が到達した立憲政治のあり方を根本から覆し、逆戻りさせようとするものです。

新憲法草案
 第三章 国民の権利及び義務
 (国民の責務)
第十二条 この憲法が国民に保障する自由および権利は、国民の普段の努力によって、保持しなければならない。国民は、これを濫用してはならないのであって、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚しつつ、常に公益及び公の秩序に反しないように自由を享受し、権利を行使する責務を負う。
 (個人の尊重等)
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
日本国憲法
 第三章国民の権利及び義務
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の普段の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う。
第十三条 すべて国民は個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利は、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

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