【シリーズ企画】憲法 詳細
2006.02.25
5.読み比べてみましょう 第76条に「軍事裁判所」を設置 ―「戦争する国」には絶対必要な「軍事裁判所」―
「自衛軍」が戦争状態に入ったら絶対必要なもののひとつが「軍事裁判所」です。自民党の「新憲法草案」には「軍事裁判所」を設置することが新たに付け加えられています。
| 自民党新憲法草案 第七十六条三項 軍事に関する裁判をおこなうため、法律の定めるところにより、下級裁判所として、軍事裁判所を設置する。 |
| 日本国憲法 該当条項なし。 |
■「自衛軍」が、「国際的に協調しておこなわれる活動」(自民党「新憲法草案」九条三項)として、戦争に加わった場合を考えて見ましょう。
なにしろ人殺しが目的となるのが戦争です。戦争の最中に起こるさまざまな軍事に関わる事件を普通の裁判所や裁判官に裁いてもらうわけにはいきません。上官の命令に絶対服従が戦争と軍隊の規律です。「人殺しはいやだ」と言って逃げた兵士は「敵前逃亡」として重罪に問わなければなりません。基本的人権より上官の命令に絶対服従することを上に置く裁判所、それが「軍事裁判所」です。しかも軍事機密が裁判で外に漏れ出たのでは戦争になりません。軍事的な機密を決して外に漏らさない裁判のシステム、これも必要です。
しかも、戦前の軍法会議では、戒厳令が敷かれているときや軍が作戦行動をおこなっている地域では、民間人もここで裁かれました。戦争が始まれば、日本国内でも周辺事態法などによって輸送や医療などのために民間人が動員されます。そうした時、軍の機密にふれればこの「軍事裁判所」で私たちが裁かれることになるかもしれないのです。
■「軍事裁判所」はこのように、兵士はもとより私たち国民全体をにらみつける役割を果たすことになります。自民党の「新憲法草案」は、こうして「戦争する国」にきっちり見合う裁判制度をセットでつくることで、新たな国民支配・戦争国家体制づくりを司法制度の面からも目指しているといえます。
