【シリーズ企画】憲法 詳細
2006.03.05
6.読み比べてみましょう 責任を地方自治体に押し付け新自由主義「構造改革」を進める
自自民党「新憲法草案」で書き加えが一番おこなわれたのが第八章「地方自治」だということはあまり知られていません。一月七日におこなった都教組の憲法学習会で坂本修自由法曹団団長は、第八章を大幅に書き換え・書き加えたところに「戦争する国づくり」と並んで新自由主義「構造改革」を徹底的に押しすすめようとする自民党「新憲法草案」のもう一つの狙いがあることを強調しました。
■自民党「新憲法草案」は、「適切な役割分担」として外交や防衛は国で、教育や福祉など「住民に身近な行政」は地方自治体がおこなうことを強調しています。つまり教育や福祉などは地方自治体に放り投げ、国の責任を縮小・スリム化して「小さな政府」を作ろうということです。しかしその一方で、九十二条で国と地方自治体は「相互に協力しなければならない」と述べ、たとえばアメリカ軍基地のための土地取り上げ、有事の際の医療・輸送・物資の確保、大型開発などについては地方自治体の協力を義務づけています。
■しかも、地方自治体がおこなう教育や福祉の財源は、新設された九十四条の二にあるように地方自治体が自前できちんと工面しなさいということになります。これでは財源の乏しい地方自治体は教育や福祉に十分な予算を割り当てることができず、何処に住んでいるかによってたいへんな格差と不公平さが広がることになります。そのうえ、九十一条の二の二で住民は「負担を公正に分任する義務」を負うことになっていますので、まともな教育や福祉を受けたければ自分でお金を出せということになります。
■日本国憲法にこうした条文がないのは当然です。日本国憲法は、大都市であれ、過疎地であれ、何処に暮らしていても最低限の生活を保障するのは国の責任であり、国の義務だと述べています(二十五条)。国の責任を最小限にして、個人の責任を最大にするのが新自由主義です。まさにそれを貫いているのが自民党「新憲法草案」です。
| 自民党「新憲法草案」で新設された主な条文 第九十一条の二 地方自治は住民の参画を基本とし、住民に身近な行政を自主的、自立的かつ総合的に実施することを旨としておこなう。 2 住民は、その属する地方自治体の役割の提供を等しく受ける権利を有し、その負担を公正に分任する義務を負う。 第九十二条 国及び地方公共団体は、地方自治の本旨に基づき、適切な役割分担を踏まえて、相互に協力しなければならない。 第九十四条の二 地方自治体の経費は、その分担する役割および責任に応じ、条例の定めるところにより課する地方税のほか、当該地方自治体が自主的に使途を定めることのできる財源を持ってその財源に当てることを基本とする。 |
