【シリーズ企画】憲法 詳細
2006.03.20
7.読み比べてみましょう アメリカ的"保守二大政党"をねらう第六十四条二項「政党」
自民党の「新憲法草案」には、今の体制を維持するためのさまざまな装置がちりばめられていますが、その代表が新たに「政党条項」を新設したことです。
■日本国憲法が第二十一条で「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、何人に対しても保障する」と述べているように、政党は「結社の自由」にもとづいて自由な政治活動が保障されなければなりません。ところが自民党案は、「(国は)その活動の公正及びその健全な発展に努めなければならない」として、政府が政党の活動が「公正」か、「健全」か、などについて判断するという内容(政党規定)を盛り込みました。そして「3」で「政党に関する事項は、法律で定める」を加え、いわゆる「政党法」をつくるとしています。
■そのねらいはどこにあるのでしょうか。自民党はこれまでまとめてきた「憲法改正草案大綱」や「憲法改正草案第一次案」でも、ずっと"政党に関する規定"を入れる方向を打ち出してきました。つまりこの点について、自民党はたいへんな"こだわり"をもっているといえます。
そのわけは、アメリカ的な二大政党制を日本でもつくりたいからです。自民党がすすめる「戦争する国づくり」と「構造改革」をやり抜くためには、自民党一党政権では安定しません。自衛隊(軍)が海外で戦争をする、国内では相次ぐ増税がおこなわれる、国民が自民党政治にNO!を突きつけることはおおいに予想されます。そのとき野党が日本共産党や社民党であっては困る、自民党と基本路線は変わらない「健全な野党」=民主党でなければならないのです。自民党がダメなら民主党、民主党がダメなら自民党......。保守二大政党の間で政権がいったりきたりしていれば「安心・安全」というわけです。
そのためには六十四条二項「3」にもとづいて「政党法」をつくり、たとえば党員名簿の公開・提出を求める、内部組織について説明させるなどを強制し、「公正」か?「健全」か?政府が判定する。こうやって政党活動に規制をかけ、自民党に真正面から立ち向かう政党を限りなくゼロにする、ここに照準を定めたのがこの「政党条項」です。
■戦後、ドイツではナチスの復活を防ぐことを口実に「自由で民主的な秩序」を破壊する政党の存在を認めないとする「政党法」がつくられました。しかし、その「政党法」によって実際におこなわれたのは共産党の解散、共産党員の職場からの追放だったことはきわめて教訓的です。
| 自民党「新憲法草案」 第六十四条二項 国は、政党が議会制民主主義に不可欠の存在であることをかんがみ、その活動の公正の確保及びその健全な発展に努めなければならない。 2 政党の活動の自由は、制限してはならない。 3 前二項に定めるもののほか、政党に関する事項は、法律で定める。 |
| 日本国憲法 該当条項なし |
