【シリーズ企画】こどもの輝き 詳細
2006.11.25
4.金田一清子さんのさわやか実践(4)
授業中、課題を出すそばから、「そんなのやりたくない」「できない」...とおしゃべりに熱中する数人の男の子たち。"事件です"と聞けば「それはうちのクラスです」と思わず口にしてしまうほど...。
それは、それはエネルギーにあふれた子どもたちであり、まさにギャングエイジ真っ最中の三年生との出会いでした。いつも、その中心にいたのが木下君(仮名)でした。何かおもしろいことはないかと探しまわり、その巧みな話術を駆使して、授業中でもみんなを沸かせてしまう。まさにいたずらの天才!!でした。
さて、木下君はただおもしろいだけでなく実は、暴言や暴力で友達を困らせていました。自分の思いを言葉で伝えることが苦手で、「うるせえ!」の後にすぐ手が出てしまうのです。
ある日、「友だちのことを見つめて詩に書こう」と呼びかけると、学級のリーダーとして活躍していた未来君(仮名)が、木下君のことを次のような詩にしてくれました。
木下くん 三年 未来
木下くんは
月曜日になると、ついついあばれてしまう。
でも、いつも
わらわせてくれる
木下くんが
おもしろくてたまらない。
だから学校へ行くのが
二年生のときより、
ずっと楽しくなった。
いろいろなあそび方や、
楽しいことも考えてくれる。
一日一日がまちどおしい。
木下くんと、
ずっと同じクラスでいたい
この詩に出会い嬉しくてたまりませんでした。彼のことをこのように思ってくれた友だちがいたなんて...。さっそくみんなで読み合いたいと思いました。実は、この話には三行目に、「ついつい弱いものいじめをしてしまう」という一文が入っていたのです。学級の子どもたちに読んであげると「それ、このまま学級通信にのせたらかわいそうだよ」の声があがり、作者の了解をとって削除したのです。やさしい子どもたちです。木下君のお母さんの了解も得て掲載し、親子で読み合いました。
○木下くんのいいところ、そして悪いところの両方がうまく書けているね。自分のことをこんなにほめてくれて、ずっと同じクラスでいたいまで書いてくれて、木下くん、とってもうれしいと思うよ。
○未来くんは、本当にいい心をもっているね。木下くんのやさしいところ、おもしろいところを発見してすごいな。ぼくもそういう未来くんと木下くんとずっといっしょのクラスでいたいな。
子どもたちの感想を聞いて目を細める木下君でした。木下君のお母さんは、
「こうすけに、こんなすてきな気持ちをもっているお友達がいてうらやましい。親として子どもたちへの接し方を気付かされたような気がします。悪いところって目に付きやすく、いいところはわかりずらい...。これっていいところを見つけようとしないからわからないんですよね。反省です。」
このような感想を寄せてくれ、嬉しくて未来君のお母さんにすぐメールを入れたそうです。この詩を読み合った後から、木下君が良い方向へと変わり始めました。友だちの詩が心を動かしたのです。
さて、木下君ですが、その後次のような詩を書き、見事地域の詩集に入選しました。ゆかいな学級の雰囲気がよく表現されています。
いたずら こうすけ
きょう、黒板けしおとしで先生をはめようとした。
「はめるの楽しみな人!」
と聞いたら半分以上が
手を上げた。
みんな楽しみで
しょうがないという顔。
ひっしで笑いをこらえてる。
とうとう、先生が来た。
先生がドアを開けた。
「ドーン。」
黒板けしが落ちた。
先生は、びっくりして
言葉が出なかった。
みんな大わらい。
先生も大わらい。
いたずらって楽しい。
ぼくたち、
昔の子どもになったみたい
