【シリーズ企画】子どもとともに 詳細
2008.08.05
子どもとともに... 教育実践シリーズ(2)
「いじめを乗り越える力を育てる」
お笑い系のグループ
「お笑い」好きな男子数人が、いつもつるんでいた。そのボスが健太だった。おとなしい子や弱い子たちは彼らのまわりを避けて通る。近づくと健太たちにいろんな格闘技の技をかけられたり、笑いものにされたりするからだ。
中学二年の一学期、健太は運動会実行委員になり、クラスを引っ張っていた。放課後には、運動の苦手な雅人たちを校庭に残して練習をさせた。その結果、学級対抗種目に勝ち、クラスは優勝した。一躍、健太は時の人となった。
ところが、このころから、雅人に対する「いじめ」が始まった。その発端は、校庭での練習を終えたあと、なかなか上達しない雅人たちをトイレに連れ込んで、健太が殴ったことだった。暴力はその後も続いていた。
担任が健太を呼んで話を聞くと、「口で言っても直さないから、殴るしかないだろ」と言った。雅人への「謝罪の会」のあと、いじめがひどくなっていった。健太たちは、「あそぼーぜ」と言いながら、格闘技の技をかけ、泣きそうな雅人を笑いものにしていたのだ。
班長会が雅人を守る
健太たちのようなグループは放っておいてもすぐにできあがるが、本当のリーダーはなかなか育たない。いじめを克服する取り組みは、夏休みの林間学校に向け
て始まった。班長会は「クラスの全員が楽しめる林間学校にしよう」という目標を掲げた。雅人を守る取り組みだった。班長たちは一人では、健太たちにはかな
わないので、必ず複数で雅人を守った。
林間学校でも多少のトラブルは起こった。しかし、その後の様々な取り組みの中心として班長会が活躍し、彼らは少しずつ自信を持つようになっていった。
三学期、雅人がまた泣いていた。班長会に「どうしたのか知ってる?」と聞いたところ、しばらくして班長たちがやってきた。「隣の組の子にやられたらしい
ので、聞きにいきました。その子が認めたので、雅人に謝らせておきました」と話してくれた。そばで、雅人がニコニコしていた。
改訂学習指導要領では授業のコマが一つ増え、「放課後」がなくなる。こんな取り組みが更にやりにくくなりそうだ。 ※登場人物は仮名です
(中学校教諭)
