【シリーズ企画】子どもとともに 詳細
2008.08.20
子どもとともに... 教育実践シリーズ(3)
転任してきた今年四月、六年生の担任になった。始業式の時、列が蛇行している。話を聞いている子どもが少ない。
さて、授業が始まると、案の定、私語が絶えない。ペン回しをしながらしゃべり続けている子、それを見てペン回しを始めてしまう子。授業中何をしているのかと腹が立つ毎日。しかし、よく見てみると、ペンを回すのがうまくなってる。私が「じょうずになってるな」と耳元でささやくと、「A君とB君に教えてもらったんだ」と言う。「先生よりずっとうまい」と言った私の言葉にすぐ反応し、「百円くれたら俺が教えてあげる。」「うわあ、せこい!」授業中の会話としては問題かもしれないが、A君とB君が友達想いであること知ることができて、収穫であった。私は、とにかく徹底的に話しかけた(というよりルールなき発言に、できる限り反応した)。
人の話を聞くことはしないが、自分の話を聞いてもらえないと感じると、「シカトしてるよ」と言って非難し始める。友達の行動を徹底的に非難する男子グループが牛耳る中で、他の男子や多くの女子は無反応で、時が過ぎるのを待っている状態である。学習場面でも「面倒くさい」「やんねえよ」と口々に言って騒ぎ出す。彼らは、様々な場面での言動を注意されると、「なんでオレなんだよ」「うざい」「むかつく」など、校内の教職員に対して常に暴言を吐く日々が続く。私は、「君たちは正直だ」とまずは受け入れている。その上で彼らの言い分を必ず聞き、最後に指導している。
授業中、し〜んと静かに自分の課題に向かっている場面があった。私はためらうことなく「この力がみんなの本当の力だと思うよ」と励ました。机間巡視をしながら丸をつけてあげると、ボソッと「オレたち当たったぜ」...
夏休み前の最後の児童朝会の時、「今日は今までの力をいっぱい出して欲しいな」と子どもたちに要求すると、私語を我慢しようとしている子どもたちの姿があった。教室に戻り「暑いのによく頑張ったなあ」と私が言うと、横向き後ろ向きの子どもたちも、前を向いて話を聞いていた。
九月からまた一進一退のドラマが始まる。「君たちの今の姿を全部受けとめてあげるよ」「ゆっくりでもいいんだよ」という、共感することや待つことを柱に据えて指導していこうと思っている。四月に出会った子どもたちが、教師の言動を注視していることを実感している今、ひとりの教師として、差別や選別のない、少しでも安心していられる教室を作ることこそ、大きな仕事だと思っている。
学習指導要領がめざしている競争主義は、子どもたちの願いと相容れない。
(小学校教諭)
