教育研究情報

【シリーズ企画】子どもとともに 詳細

2008.09.20

子どもとともに... 教育実践シリーズ(4)

 今年三月に卒業した子どもたちの姿をいくつか紹介します。
 中学生どうしでは、ごくありふれたふざけ合いややり取りが、K男には耐えられません。突然「うるさいんだよ。」などとわめいたり、何でもイジメと思えたり。一年生のときから休み時間のたびに職員室へ。大人にかまってもらうしかないのです。クラスのみんなも彼とのつき合い方がなかなか分かりません。
 三年生になっても、彼はほとんど変わることなく、運動会の全員リレーの練習途中で「皆の態度が気に入らない。」と走るのをやめることも。
 そんな彼にイラつき、激しく詰め寄ったりしながらも三年生達は彼を受け入れていました。練習についての話し合いで素直になれず意地を張り続ける彼に対して「おれはお前のこと、やってくれると信じているから。」とリーダーは呼びかけます。運動会後もいざこざや事件を起こしながらも、二学期の合唱コンが終わるころ「先生、人と付き合うの難しいねェ」と、しみじみ言うのです。確かな成長を感じます。

 クラス全員が足をロープに結んで走る大ムカデ。四〇人の心をひとつに合わせるのは至難です。何回も転び、ケガもしながら必死に練習し、問題点を乗り越えるための話し合いも重ねます。時には激しい言い争いや涙の場面も。「先生入室禁止」と張り出すクラスもあります。
 「僕のクラスは『勝つ』という目標など話にならないという気もします。でも練習をしているうちに今まで話したことのない人の頑張ろうとする気持ちも少しずつ分る気がしてきました。どうしたら全員がまとまり、速くなるか、完全ではないながらに一生懸命みんなと話し合う。そんなことを繰り返すうちにそれがなぜか楽しくて、遅くてもみんなと練習がしたいと思いました。いつか勝つことよりもこのクラスでムカデを走りたいという目標が自分の中にありました。」
 中学校最後の運動会、全力で駆け抜ける力強い姿は迫力満点。このクラスは見事にトップでゴール。

 卒業式にむけての特別時間割が始まるころ、どのクラスにも「卒業式まで○日」と書かれた手製の日めくりカレンダーが張り出されます。「今日はみんなにありがとうを言おう」などと「今日の一言」が書き込まれたりしています。
 「僕は中学校生活が終わることを意識し始めた。そしたら急に時間は形を変えた。一秒一秒が大切な思い出になっている。退屈だと叫んでいた毎日も今思えば宝物だと思う。このクラスで本当に良かったと思う。学校に行くのがすごく楽しい。あと数日で離れ離れになると思うととても寂しい。私にとって、みんなはかけがえのない存在です。みんな大好きだよ。」
 仲間の中で学び仲間とともに成長し、彼らは晴れやかに卒業していきました。

(中学校教諭)

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