【シリーズ企画】子どもとともに 詳細
2008.11.25
子どもとともに... 教育実践シリーズ(8)
大半の保護者が生きていくだけで精一杯という環境の中で、健気に頑張っている生徒が多い。保健室はそんな状況を反映して、さまざまな問題を抱え来室する生徒も数多くいる。
十一月の定期考査が近づいた暖かな一日。今日も絆創膏依存症のRくんが朝一番にやってきた。職員室の入り口で大きな声で「○○先生、絆創膏ちょうだい」他の職員から「君は授業中うるさいから他の物をあげようか」とからかわれながら満更でもない様子。最近、浮かない様子をしているのは何かあるためか。顔つきを観察しながら絆創膏を渡し、「何だか最近元気がないね」と言うと「別に」との答え。担任の話では女の子とのつきあいがうまくいかないのと進路に不安を抱えているためらしい。
「先生見て」と首の何カ所ものひっかき傷を見せながら「どうしてそんなことになったの」と聞くと首をかしげる常連のYさん。「朝、起きてみたらこうなってた」「また、おじいちゃんに何かやられたの」と消毒をしながら単刀直入に聞いてみる。「朝起きたら猫が布団に入っていたから猫だと思うんだよね」と答える。今回は、どうやら、家庭でのもめ事ではなかったらしくほっと胸を撫で下ろす。
不登校気味のTさん。「これからは進路のこともあるんだからなるべく学校に顔を出しなさい」と週に二回ならと約束させ、何とか守っている。一時間は保健室で過ごす習慣は相変わらずだ。「先生またきちゃった」と当然のごとく入ってくる。心身症の二人の姉の病状からいろんな話題に話が弾む。彼女は聞き上手で、かえって養護教諭の私の方が話を聞いて貰っている。そのことを話すと「前の学校の保健の先生もそう言ってた」
そういえば、この頃子どもたちに癒されることは多い。一年時には玄関で憚ることなく「学校がいやだ」と大声で泣いていた特別支援のM君。担任が父親で、養護教諭が母親のファミリーだと学年職員に揶揄されながら卒業を迎えようとしている。「先生、今は学校の方が楽しいよ」と言われびっくり。最近、回数が増え、それとなく探りをいれていたのは気の回し過ぎか。たとえ、ちいさな傷であっても無視はできない。
毎日、学年フロアを巡るのも子どもたちの様子を観察する貴重な時間。そこで、聞いて聞いてと話をしてくる内容も見過ごすことができないものも多い。ただ、体中を触られるのには閉口する。
この子たちに教えられることは多い。怒りを露わにせず忍耐強く話を聞くことも彼らに教わった。このままこの子たちが素直に育ちますようにと願わずにはいられない。
(中学校養護教諭)
