教育研究情報

【シリーズ企画】子どもとともに 詳細

2009.03.15

子どもとともに...教育実践シリーズ(13) 不合格という試練に立ち向かう中学生

 深刻化する不況と貧困の広がりが全都の中学3年生に影響を与えました。今年の入試は、どの学校でも都立一本の生徒が増えているようです。都立1次前期入試の実質倍率は、1.38倍で現行の入試制度になった平成6年以降で過去最高。不合格者は受験生の27.4%に達し、全都で1万1千人を超えました。

 倍率の高さに「だめかもしれない」「落ちたらどうしよう」と不安な気持ちを語る生徒が多かったように思います。生徒を励ましながらも実は担任も内心は動揺していました。

 

 それだけに、今年の発表の日はたくさんの涙と出会いました。担任の顔を見るなり「受かったよ」と跳んでくる生徒、努めて冷静に報告しようとする生徒、どの生徒とも手を取り合って歓び、「頑張ってよかったね」とねぎらうと目が潤んできます。こういう時、中学生はとてもピュアです。

 悔しさに堪えて不合格の報告をする生徒には、「一度の失敗で人生は決まらないよ。ゴールはまだ先だから」「挫折をばねにあなたの夢をかなえよう」と慰めます。すると、また涙...。しかし今年は、都立一本組で3名もの生徒が不合格になってしまいました。

 

 Y君は、家計を考えて自ら都立一本を選び、塾にいかずにこつことやってきました。Mさんの母親は再婚です。経済的に自立できない母の悩みをいつも聞いてきました。K君は、勉強は全く分からず夜遊びの癖がつき不登校でしたが、2学期から登校するようになりました。3人とも事情や困難を背負って生きているのです。不合格という試練に立ち向かわなければなりません。2次募集で何とか受からせたい。こんな時たよりになるのはやはり学級の仲間です。

 

 私の学校は3月に合唱会があります。発表の翌週、学活で担任の思いを語りました。それは誰もが語る様な内容です。「合格した人は悔しい思いをした人の分まで頑張ってほしい」「担任は三人の進路が決定できる事に力を尽くしたい。協力してほしい」

 次の日からクラス練習が本格的に始まりました。中学生活最後の行事に生徒は感動をつくりたいと燃えています。

 出願を終えて戻って来た二人と、まだ朝は起きられず遅刻しながら登校するK君を含めて、放課後練習には久しぶりにみんなの顔が揃いました。声を掛け合い練習するほほえましい姿がそこにはありました。

 

 受験体制という選別の中で歪められている中学生。でも彼らが本当に求めているのは、支え合うこと、信頼でつながれる関係なのだ。そこに依拠することが学級づくりの原則ではないでしょうか。

    

                                   (中学校教諭)  

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