ILO・Unesco調査団とCEART勧告 詳細
2008.11.25
職場の声が世界に ILO・ユネスコ「教員の地位に関する勧告」 ILO・ユネスコ共同専門家委員会が改善求める画期的勧告 都教組などの来日調査踏まえ文科省・都教委に
業績評価、「指導不適切」問題など組合と協議して改善を
ILO・ユネスコ共同専門家委員会(CEART)が、今年四月末の来日調査を踏まえて、日本の教職員政策に改善方向を示す画期的勧告を行いました。文科省・都教委にこれまで以上に「教員の地位勧告」遵守を力強く勧告しており、東京の教育現場からの叫びが世界に届きました。
都教組は、職場・支部での「勧告」学習の運動をすすめます。
期待にこたえる画期的な内容
「ジュネーブから青い鳥は飛んでこない」など一部からかう声は別にして、「管理と競争」の教育が強化され学校が窮屈になり働きづらくなる中で、多くの教職員は、ILO・ユネスコが四月の来日調査を踏まえ、「指導不適切」教員問題や人事考課制度に関して、どのような勧告を行うか、期待をもって注目していました。
勧告を含むCEART報告の内容は、この間の部分的改善措置を評価しつつも、私たちの期待に応える画期的なものでした。
第一に、文科省・都教委などからのヒアリングを経て、これまでは、『教員の地位勧告』の原則に基づき見直しの方向を示してきましたが、今回は、実情調査を踏まえ『勧告』の不遵守を具体的に指摘し、踏み込んだ改善内容を勧告しました。
第二に、調査団は、文科省に対し改善の勧告をしたにもかかわらず、なぜ初歩的な改善に留まっているのか、その障害はどこにあるのかに強い関心を持っていました。
勧告は、改善の障害を除去するために、文科省が教職員組合を「教育政策の決定に関与すべき勢力として認め」、また人事考課制度などを「管理運営事項」扱いとせず、有意義な協議・交渉を行うことの重要性を指摘し、法改正を含め抜本的な政策転換を求めました。そして、勧告の対象は文科省だけでなく都道府県教育委員会の「両方」であるとしており、「勧告自体は国内法を拘束するものではないとするのが文科省の見解であり、同じ立場をもつ」と反論してきた都教委の見解は斥けられました。
【写真】都教組からヒアリングを行うCEART調査団(08年4月)
すべての当事者に「問題の解決のための提案」
『教員の地位勧告』・CEART勧告は、「強い説得的効果」と「倫理的な権威」を持っており、各国で遵守されることは当然とされるべきものです。とりわけ、前例のない実情調査は、文科省が、全教の主張だけを聞いて判断せず、「各教育委員会の取組状況等について直接事情を聴取していただきたいことを希望する」と意見表明したことにより実現しました。この勧告は、すべての当事者に受け入れられる「問題の解決のための提案」であり、文科省・都教委の誠実な対応を信じてやみません。
都段階では、都教組・都障教組だけでなく、都高教もヒアリングに応じ、「都側と労働組合との充分な協議。交渉が行われていない」ことなどを訴えました。 CEART勧告は、私たちの共有財産です。ILO・ユネスコは引き続き「進展と困難を通知し、その困難の解決に役立つと考えられる事項について...CEARTの専門的・政策的助言」を求めるよう勧告しています。私たちは、東京の教育行政が国際基準を遵守するまで、粘り強く奮闘するものです。
新堰義昭(全教副委員長)
「勧告」を活かす今後のとりくみが重要
CEARTは、今年四月の来日調査を経て、「教職における雇用の安定と身分保障は、教員の利益にとっても不可欠であることはいうまでもなく、教育の利益のためにも不可欠なもの」と勧告していました。
しかし、私たち東京の教職員は、競争と管理による人事管理や劣悪な教育条件のもと、慢性的な長時間過密労働、精神疾患の急増などの現状からもわかるように、「教員の地位」の低下、不安定化が深刻化しています。
「勧告」を教育現場に活かすのは私たちの運動
今回の「勧告」は、そのような教育現場の実態からも、職場に生かすとりくみとして具体化しなければなりません。
CEART勧告は、「強い説得的効果」と「倫理的な権威」を持っているとILO・ユネスコは説明しており、各国で遵守されることは当然とされるべきものです。しかし、活かすのは私たちの運動です。
「教員の地位に関する勧告」(全一四六項)を、教育現場のすみずみに活かすことは極めて重要な課題です。この「勧告」をすべての教職員の「共有の財産」として、今後とりくみをすすめましょう。
また、「勧告」は、教職員組合と文科省・教育委員会との有意義な交渉を実現するための関連法律の改正にも言及している点も極めて重要な意味を持っています。
「勧告」を活かすために
「教員の地位に関する勧告」、CEART勧告の学習・普及の強化がこれからのとりくみとして第一の課題です。また、同時に交渉・協議の促進で競争的管理的な教職員賃金・人事政策の転換をめざすことも必要です。
そのために、都教組は、次の三点を提起します。
(1)勧告そのものが教職員に知られていない現状から、学習会等のとりくみを各地域で強化する。
(2)さまざまなとりくみの中に、勧告を位置づける。
(3)「勧告」の内容にもとづいて、具体的なとりくみ課題を明確にして運動を強化する。
「勧告」は子どもの最善の利益のためのもの
「教員の地位」は、子どもの最善の利益のためのもので、その目的に沿って尊重されなければなりません。
「教員の地位に関する勧告」を「指導力不足教員」や教員評価の問題だけに収束させるのではなく、勧告全体を通してのとりくみをすすめる必要があります。「勧告」を生かすことが、「どの子も大切にする」教育に直接結びつくという観点が重要です。
