職の分化 詳細
2007.06.15
「職の分化」について500職場緊急調査 「主幹」「主任教諭」制度NOが圧倒的!
受験者が激減、配置計画達成できず
都教委が主幹制度を見直し
「希望による降任」を認めることに
学校に主幹職が導入されて4年、職場の支持をえられずついに都教委が制度の見直しを5月の教育委員会で決めました。しかし、その内容は受験者数の減少をくい止めようとするためのもので、根本的な制度の見直しにはほど遠いものです。
「教育力が高まった」はわずか1%の学校だけ
都教組は、職場の協力を得て、5月に『職の分化(主幹職・主任職)にかかわる職場緊急調査』を独自に行い、「主幹制度が学校の教育力を高めることに役立っているか」「主幹や主任教諭など職の分化で学校は良くなるか」について、約500の職場から回答をいただきました。「主幹の導入で学校全体の教育力は高まったか」の問いには、「高まった」がわずか1%しかなく、「たいへん低下した」が27%、「どちらかといえば低下した」が26%もあり、過半数がマイナス評価をしています。教職員の協力共同が崩れた、働く意欲を削ぐ、主幹自身も悩み苦しんでいる、転入してきた主幹がいきなり主任になり混乱したなど、問題点が指摘されています。また、主幹の方からも、管理職の下請けのようだ、あまりにも忙しすぎ疲れる、「おまかせ」といった風潮が出てきた、校長に頼まれて主幹になったが辞めたい、降格制度をつくってほしいなどの意見が寄せられています。
都教委の見直しの内容は
○ 主幹の配置計画を達成することを目的に、受験年齢を2歳引き下げる(36歳以上)、現任校在職可能期間を2年延ばす(5年に)、小規模校の配置数を1人減らす。
○ 受験希望者を増やすためには「多忙感」の解決が課題だとして、分掌内の他の教員に的確に仕事を割り振る。授業の持ち時数軽減を割り振る。
○ 主幹が教務・生活・進路主任以外の主任を兼務することを認める。
○ 希望の強い降格制度について、「健康・家庭状況など真にやむを得ない事情が存在する場合には、希望による降任を認めていく」ことにする。
トップダウンの強化が学校運営を困難にしている
都教委は、「主幹制度導入により学校の組織的課題解決能力は向上した」と強弁していますが、その根拠は昨年10月に行った校長へのアンケート調査で 86・9%がそう回答したということだけです。しかし、都教組が行った職場調査では、同じ問いに「高まった」はわずか3%であり、55%が「低下した」と答えています。「一般教職員の声が学校運営に反映されづらい」「上の言うとおりに協力しろというもので働く意欲を削ぐ」など、トップダウンの強化が子どものための教育を一層困難にしていることにこそ目を向け、主幹を「指導監督層」と位置づけ、指導する主幹と指導される教諭に分化し、職として固定する制度を抜本的に見直すべきです。
これでは学校がだめになる!
「主幹教諭」設置を都が再提案
30歳代前半に抜擢、主幹をサポート「上位の職」として「同僚や若手を助言・支援」
都・都教委は、都教組など学校関係教組と都労連にたいして、教諭を「主任層」と「一般層」に分化し、新たな職として「主任教諭」(仮称)を設置することを再提案してきました。今後、教育委員会で管理運営規則を改定し、新たな給与表をつくり、今年度中に選考を行い、来年度から任用を開始するとしています。
都労連は、教員賃金問題を重要課題に位置づけ、「職場を分断する『新たな職』設置反対」のとりくみを重視し、5月31日の都との団体交渉でも、「新たな職の導入には反対である」と主張しています。
教職員の協力共同を壊す制度
子どもの人格形成という複雑で困難な教育活動を担う学校にとって、教職員の協力共同は絶対不可欠な要素であり、これなしには教育は成り立ちません。これまでの都教組の解明要求に、都教委も「十分な教職員間の意思疎通と共通理解、協力協働体制が重要」と回答せざるをえませんでした。ところが、都教委は、教員の85%をしめる教諭が年功的・一律的な処遇にあることを問題にし、同じ教諭でも「職務の困難度や責任の度合い」に大きな違いがあることを、「主任教諭」設置の理由にしています。学校は、教職員が分掌や担任など様々な役割を分担し、互いに協力し合うことにより成り立っています。都教委は、ことさら「職務の困難度や責任の度合い」の違いをとりあげて、「主任層」と「一般層」に分化し、違いを固定化し拡大することで、教職員の協力共同を破壊しようとしているとしか考えられません。
都教組が行った『職場緊急調査』では、「職の分化(主幹職・主任職)で学校は良くなるか」の問いに、「良くなる」はゼロ、「たいへん悪くなる」が73%という結果が出ており、「一般教職員の声が反映されにくくなり、組織としての実践力が弱くなった。」などの意見が届いています。「主任教諭」設置にノーが職場の圧倒的な声です。
経験10年で「主任教諭」に、職務と責任がズッシリ
「主任教諭」の選考は、10年経験者研修の時期に(東京教師道場で養成された授業力リーダーはそれ以前でも可)実施するとされ、30歳代前半期に「主任層」の抜擢をねらっています。「主任教諭」には、次の役割が求められます。
(1)「高度の知識または経験」を基に、「教育面での安定した実践力」を発揮しなければなりません。課題が多い中で、「安定した実践」を期待される苦労は計りしれません。
(2)「上位の職」としての責任を求められ、原則として学年主任などの重要な役割を担い、主幹を積極的にサポートしなければなりません。都教委は、「主幹を供給する職層」と位置づけていることも明らかにしており、これで同僚と共同して学年をまとめていけるのでしょうか。
(3)「同僚や若手教員への助言・支援などの指導的な役割」を果たさなければなりません。教諭を「助言・支援する」層と「助言・支援される」層に分化し、30歳代前半でこんなに多大な職務と責任を担わせることは、問題です。
(4)しかも、学校に何人の「主任教諭」を配置するかの計画すらありません。ただ導入することのみが先行しているのです。
ねらいは上意下達の指揮命令ラインの強化
ねらいは、「副校長を補佐し校務を担う」主幹に加えて、「主幹をサポートする」「主任教諭」を設置することにより、上意下達の指揮命令のラインをさらに強めるとともに、ここから主幹のなり手を育成することです。このしくみを使って、どの子も大切に良さを引きだしどこまでも伸ばす民主教育の蓄積を否定し、「あの子はこの程度」と差別があたり前の教育、国を愛する態度を押しつける教育を本格的に学校でやらせようとしているのです。
また、上意下達の「職の分化」は、教職員の協力共同の体制を破壊し、子どもに目を向けどの子も大切にする教育を一層困難にするものです。都教委は、主幹制度に是正すべき課題があることを認め、見直しに着手しましたが、その効果も全く分からないまま、さらに新たな職の分化を行ない、「主任教諭」を設置することは、いたずらに学校に混乱をもたらすものでしかありません。
力合わせて阻止しよう
教育破壊の「主任教諭」設置に、都教組・都労連は断固反対してたたかいます。全教職員に呼びかけ、次の取りくみを全力ですすめましょう。
○ この新聞都教組を使い、職場学習会にとりくみます。
○ 職場の怒りを結集し、都教委要請などにとりくみます。
○ 都労連に結集して集会、要請行動などにとりくみます。
職場から寄せられた意見
● 一般教職員の声が反映されにくくなり、組織としての実践力が弱くなった。それを補っているのは教職員一人ひとりの善意と、教育の道理を実践しようという熱意である。どこで、何が、どうして決まったのか、わかりづらくなってきた。職員会議への参加、そこでの発言の意欲、また発言数が減ってきた。主幹の先生も苦しんでいるように見える。
● 主幹=教務・生活指導・進路指導主任と限定されてしまうことには疑問を感じる。学校によって、生徒も保護者も地域も大きく実態が変わり、転任した場合何も分からないなかで、主任を引き受けることも、任せることも、とても困難なことと思います。また、降格できないこともいかがなものかと思う。
主幹のみなさんから寄せられた声
● 「主任」が「主幹」という名前になっただけで、なぜ教育力が高まるのでしょうか。主幹の教育力は、教材研究に割く時間が減って、かえって低下しているかもしれません。
● 主幹、指導教諭に「任せた」とばかり、昔のように組織全体で議論し、考え、実践していくことができなくなるでしょうね。今でもその傾向が強くなってきました。行政の組織の方程式に当てはまらないのが学校現場です。なぜ、行政職は、学校現場へ出向いて研修に来ないんでしょうね。
● 教師という職業は縦社会ではなく、一人ひとりの力を発揮していくことで学校はうまくいくものだと思います。「職の分化」ではなく、教師一人ひとりの意欲がそがれないようにしていくことが必要だと思います。
