生活と権利を守る

【シリーズ企画】年金問題 詳細

2007.10.25

そこが知りたい シリーズ9 年金問題

Q8.ほんとに私的年金は有利?
   公的年金と私的年金と大きなちがい
 「備えは民間の年金」「公的年金は当てにならぬ」‐‐このような声が、まことしやかに、堂々とまかり通っています。ほんとうでしょうか?一方で、年金制度のやむことない連続改革、他方では「貯蓄から投資へ」の大合唱、いずれも政府・与党・財界を主犯とする「自己責任・自助努力」の強調(その裏側で公的社会的責任の大幅な後進)が誘導した「世論」ではないでしょうか。公的年金はまるでダメで、私的年金がそれにかわるうるものなのかどうか、それを確かめるのが、今回のテーマです。
 ここでは、私的年金の代表として東京都福利厚生事業団の扱う積立年金保険に登場願いましょう(けなすために登場してもらうわけでは決してなく、身近にあるものとして、割と安心で良心的なものとして紹介するつもりです。念のため)。
 一口の保険料は一九八〇円。うち1・3%は生命保険会社への事務手数料です。(生命保険会社は、この手数料が収益源となります。数%の手数料のところも)(保険料がまるまる運用にまわされるわけではなく、もちろん公的年金のように国庫負担や使用者負担が上乗せになることもなく)保険料から手数料がまず差し引かれ、残りを運用するわけですから、運用利回り1・578%(第19保険年度)をうたっても一年目はほとんど元本割れの状態です。
 これに対して、公的年金は、私たちの保険料だけでなく、国民(基礎)年金にあっては国庫負担(国税投入)があり、共済(厚生)年金では労使折半・使用者の負担金も義務づけられており、これをも含めて運営・運用するわけですから、私的年金とはそもそも土台が違います。
 また、私的年金では、運用失敗のリスクはつきまといますし、それは民間会社の責任を問えたとしても最終的には自己責任の世界です。さらにはインフレ局面では、どんなに運用益が高くてもインフレ率に追いつかず、せいぜい目減りをカバーする程度‐‐手数料が案外安く、割に安心できる積立年金保険ですが、それとても民間の私的年金がもつ「限界・宿弊」をまぬがれるわけではありません。
 これに対して、運営・運用に国・政府が全責任を負っているのが、公的年金です。「生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務」(憲法第二十五条)にもとづいて国民の権利と国の義務の関係は明確であり、自己責任の入り込む余地はありませんし、「消えた年金」問題に端を発して国・政府の責任が厳しく問い直されているのも当然のことと言えるでしょう。
 これらを含めて、「公的年金と私的年金の違い」については、対比表を参照してください。
 公的年金をベースに私的年金で補完・上乗せすることはあっても、そもそも私的年金に公的年金の代替をすることはできません。「やせても枯れても公的年金」「腐っても鯛は鯛」であることを強調して今回のまとめとします。
 なお、正確に言えば、対比表で示した「公的年金」の姿は、ほぼ十年前の姿です。それから十年、公的年金制度はどこまで「変質」したのか、それに対して国民の運動と世論はどんな反転攻勢に打って出ているか、そうした現在のせめぎあいについては稿を改め、次回紹介するつもりです。

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