【シリーズ企画】職場に生かす労安法 詳細
2008.12.10
職場に生かす労安法(9)
メンタルヘルスと労安法
これまでシリーズでは、学校職場の長時間労働の問題を中心にのべてきました。今回の労安法改正のもう一つのポイントは、職場におけるメンタルヘルスケアの問題です。
メンタルヘルスに関連して、労安法・規則では主に2点の改定がありました。1点目は、これまで述べてきた長時間労働者に対する医師の面接指導の課題です。2点目は、安全衛生委員会の仕事に、長時間労働による健康障害を防止する対策を立てることと、精神的健康の保持増進の対策を立てることを義務付けたことです。職場のメンタルヘルス環境を底上げするためにも、区市段階の総括衛生委員会や職場の委員会の果たす役割は重要になります。
学校職場の教職員の中にも今日、精神疾患を理由とする病気休暇や休職が激増しています。しかも、これらのメンタル不全の増加は、決して個人の責任で起きている問題ではありません。際限のない長時間過密労働、形式的で子どもとのかかわりが薄い書類づくりなどの努力の報われない仕事、管理職によるパワーハラスメントなど、学校職場特有のストレス要因が強まり、広がっています。
今回、法令によって職場の安全衛生委員会にメンタルヘルス対策が義務付けられたことは、学校職場にとって、とりわけ重要な意味を持つものです。
政府のメンタルヘルス対策「指針」
労安の法令改正を受けて政府(労働基準局)は、職場において事業者が講ずるべき「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を策定しました。すべての職場ですすめるべきメンタルヘルス対策の基準となるものです。
「指針」は「近年、労働者の受けるストレスは拡大する傾向にあり、仕事に関して強い不安やストレスを感じている労働者が6割を超える」こと、「精神障害等に係る労災補償状況をみると、請求件数、認定件数とも近年、増加傾向」にあることなど、「心の健康問題が労働者、その家族、事業場及び社会に与える影響は、今日、ますます大きく」なり、職場において「より積極的に労働者の心の健康の保持増進を図ることは非常に重要な課題」と指摘しています。
そして、職場に存在するストレス要因は、労働者自身の力だけでは取り除くことができないので、「事業者によるメンタルヘルスケアの積極的推進が重要」であること、職場での「組織的計画的な対策の実施は、大きな役割を果たす」こと、「事業者自らが事業場におけるメンタルヘルスケアを積極的に推進することを表明」すること、「安全衛生委員会等において十分調査審議を行い、メンタルヘルスケアに関する現状と問題点を明確」にすること、「問題点を解決する具体的な計画を策定し、実施」することなどを、対策の基本として求めています。
